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【F1】2025年型ニューマシンの最新トレンド 「シャークマウス型サイドポッド」って何だ? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【0.03秒で順位が変わる開発競争】

 王者マクラーレンは、プルロッド式のフロントサスペンションをさらにアグレッシブなレイアウトにして、マシンの空力性能を突き詰めてきた。

 昨年からレーシングブルズも追随し、今年はフェラーリも加わった。プッシュロッド方式を維持しているのは、メルセデスAMG以外では独自開発が難しいカスタマーチームだけになってしまった。

メルセデスAMGの2025年マシン「W16」 photo by © Mercedes AMGメルセデスAMGの2025年マシン「W16」 photo by © Mercedes AMGこの記事に関連する写真を見る そして、フェラーリがそのプルロッド式サスペンションの恩恵を受けて「開発の余地」を生み出したのが、サイドポッドだ。

 コクピット脇にせり出した板の下に、ほとんど見えないような薄さで冷却風取り入れ用の開口部を設け、サイドポッド下側を大きくえぐって気流をスムーズに流す。サメの口のような形をしていることから「シャークマウス型」と呼ばれるこのサイドポッドが、今季最大のトレンドになっている。

 昨年レッドブルが先鞭(せんべん)をつけたこの手法は、昨シーズン中にいくつかのチームがすでにコピー。内部のラジエター配置やフロントサスの整流効果の不足などで対応ができなかったチームも、2025年型マシンではこぞってコピーしてきており、ここまでに発表された8台のマシンすべてがシャークマウス型となった。

 2025年は現行レギュレーションで4年目のシーズンとなり、マシンの開発はどのチームも行き着くところまで来ている。そのため伸びしろは決して大きくなく、4チーム7人のドライバーが勝利を挙げた昨年以上の大接戦になるとみられている。

「昨年のひとつ前のポジションとのタイム差は0.03秒だった。0.03秒で順位が変わる。つまり、空力面、メカニカル面、タイヤマネージメント面など、それぞれで見づける0.001秒ずつが意味を持つんだ。2025年型マシンは開発が突き詰められ、改良点を見つけ出すのはこれまで以上に困難になるが、一方でその0.001秒が重要な意味を持つことになる」(セラTD)

 フロントサスペンションやサイドポッドなど、どのチームもトレンドに倣うようになれば、その0.001秒を稼ぐための方法がどんどん少なくなってくるのは当然だ。

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