角田裕毅「雨のおかげで」4戦ぶりの入賞 次のハンガリーGPは得意の低速域で反撃のチャンス (2ページ目)
【アップグレードの不発が大きな痛手】
長いストレートで競争力を得るために、空気抵抗を減らすべくリアウイングを薄くする。すると、高速コーナーではダウンフォースが足りずにマシンが滑る。そこで生じるタイム差はわずかでも、滑ることによるタイヤへのダメージは蓄積し、ロングランのペースは悪くなる。
それにもかかわらず、RBはストレートでも彼らと同等のスピードがあるわけではない。
結局のところ、高速コーナーとストレートを両立させなければいけないサーキットにおいて、VCARB 01はかなり厳しいということだ。
RBは「もう中団トップを争うマシンではない」と言う photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る 高速コーナーだけ、もしくはストレートだけなら構わない。得意の低速コーナーでタイムを稼ぐこともできる。
しかし、「最大ダウンフォース量」や「最高速」ではなく、それを両立させる「空力効率」が重要になる場面では、戦えない。そういう意味では、シルバーストンはスパ・フランコルシャンと並んで、最もそういう特性を持つサーキットのひとつだ。
それに加えて、第10戦スペインGPに投入したアップグレードが不発に終わったことも大きく響いてしまった。次のオーストリアGPで検証作業を行ない、イギリスGPでは効果のあるパーツを厳選して使ったものの、この3戦で計画どおりの進歩が果たせなかったことは確かだ。
0.1秒でポジションが変わり、0.3秒違えば最上位から最下位まで落ちてしまうような大接戦の今の中団グループにおいて、この停滞は手痛かった。
もう中団トップを争うクルマではないと、角田自身もはっきりと断言した。
「自分たちの失敗を受け止めて、素早くきちんと状況に対応できたのは、ポジティブな要素だと言えます。もし(問題のある)アップグレードパッケージをそのまま使い続けていたら、もっとひどい結果になっていたはずですから。
ただ、いくらセットアップを改善しても、高速コースでのペース不足はクルマの根本を変えないと厳しい。なので、根本的に変えていく必要があると思っています」
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