検索

ハース新代表・小松礼雄はF1でのキャリアは20年 最下位のチームをどう立て直す? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【イギリスとイタリアの2カ所体制をどうする?】

 そのうえで問題を修正し、チーム内の風通しをよくし、チームがどこを目指しているのか、何が最優先事項なのかをチーム全員が共有する必要があるという。それができればハースのスタッフたちの能力はもっと引き出せる──というのが、これまで彼らを見てきた小松の評価だ。

「このチームには能力の高い人材がたくさんいますし、僕がF1で20年やってきたなかでベストなチームのひとつだと思っています。問題は、その人たちがうまくコミュニケーションを取り、一体となってお互いに協力し合いながら開発できるかなんです。

 今のF1はかつてないほど、空力とサスペンションが一体となっていなければなりません。我々の場合は、空力部門の設計者たちがイタリアにいて、サスペンションを扱うビークルダイナミクス部門の設計者たちはイギリスにいます。そのコミュニケーションと連携に関しては、これから大きく改善していけると自信を持っています」

 小松の根底にあるのは、これまでのハースは個々のスタッフが実力を発揮しきれていないということ。そして、その原因がチームの技術組織にあること。ほかにも課題はあるものの、まず手をつけるべき課題はそこだという考え方だ。

 だからこそ、チームスタッフの入れ換えや増強は急がない。各地に分散したオフィスの統合も急がない。そしてフェラーリとの技術提携のあり方についても、すぐに見直しを進めたりはしない。

 つまり、短期戦略は人員の能力を最大限に引き出せるような組織への改善であり、中期戦略はオフィス統合やさらなる人材の強化と、すでに自分たちがやるべきことを冷静に見極めているのだ。

「イギリスとイタリアの2カ所にオフィスを構えるのが理想的かと聞かれれば、答えは『ノー』です。でも、それが僕たちにとって最大の問題点かと言えば、それも答えは『ノー』なんです。

 今の体制でも、間違いなくもっとうまくやれるわけです。だから僕が集中しているのはそこです。そしてやれるだけのことをやって、自分たちがこれ以上は改善しようがないとなったら、次にそこ(2拠点体制)に目を向けるべきだと思っています」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る