角田裕毅の絶望的な週末 限界を超えて攻め続け大苦戦も「後悔はない」
これほどまでに絶望的な週末は、今シーズン初めてのことだ。オーストリアGPの角田裕毅とアルファタウリは、入賞のチャンスをまったく感じることなく19位でレースを終えた。
「今週末はフリー走行から速さがありませんでしたし、予想どおりペースがなかったので、とてもフラストレーションの溜まるレースでした」
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【コースオフが致命傷となった】
今シーズンの角田とアルファタウリは、常に堅実なレースで入賞のチャンスを争ってきた。
モナコGPでは雨でブレーキ温度に問題を抱え、スペインGPではインシデントに対するペナルティで入賞のチャンスを逃したとはいえ、それまでは入賞圏を走っていた。カナダGPでもウイリアムズのように最後まで走りきるギャンブルを貫けば8位入賞の可能性もあった。
しかしレッドブルリンクでは、目を疑うようなパフォーマンスしか発揮できなかった。予選ではトラックリミリット違反でタイムを抹消されて16位。スプリントレースでは路面が乾いていくなかでコミュニケーション不足からタイヤ交換のタイミングが遅れ、結果的に無駄なドライタイヤへの交換でポジションを落とすことになった。
そして、決勝では1周目に接触とコースオフを喫してマシンにダメージを負い、ただでさえ曲がらないクルマがさらに厳しくなった。
「1周目にできるだけポジションを上げたかったのでアグレッシブに攻めていって、実際にターン4まではうまくいっていたと思います。
でも、ターン1で少しロックアップしてフロントウイングにダメージがあったせいで、ターン4でブレーキングした瞬間、ダウンフォースが抜けてロックアップしてコースオフしてしまいました。あそこでさらにフロアにダメージを負ってしまったようで、その後は全然ペースがありませんでした」
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。