F1連覇でフェルスタッペンはホンダに感謝。角田裕毅は鈴鹿での3日間で大きく成長した (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ベッテルの鈴鹿ラストラン

 2時間の中断の間も、スタンドに向かって手を振ったりと、感謝の気持ちを表わし続けた。

 インターミディエイトの消耗が激しく、途中でピットストップして新品に履き替える戦略に出たが、時すでに遅しだった。

「自分にやれるだけのことはやりました。少しは抑えられたとは思うんですけど、インターミディエイトの消耗が大きくて、新品に交換せずに最後まで走りきることは難しい状況でした。

 もし、タイヤ交換をするとわかっていたなら、あと2周早くピットインをコールしていたのは間違いありません。そういうコミュニケーションは僕がもっと学ばなければならないポイントですし、改善が必要なのも間違いありません」

 それでも13位でフィニッシュし、ありったけの感謝を伝えた。そして、グランドスタンドからも大きな声援を受けた。

ファンに手を振って感謝を伝える角田裕毅ファンに手を振って感謝を伝える角田裕毅この記事に関連する写真を見る この経験は、きっと角田裕毅をひと回り大きく成長させてくれる。そんなふうに感じられた3日間だった。

「僕にとっては初めての日本GPでしたけど、雨でディレイに晒されながらも盛り上げていただいて、ありがとうございました。この3日間、僕としても忘れられない体験になりました。みなさんに少しでも楽しんでもらえるよう、自分らしいアグレッシブな攻めの走りは貫き通せたかなと思います。また来年、さらに強くなって鈴鹿に戻ってこられるように、次戦から気を引き締め直して戦っていきたいと思います」

 今年の鈴鹿は、初めてF1観戦に訪れたという若いファンも多く、着実に世代交代が進んでいる。F1チームやドライバー、関係者たちも、3年ぶりに訪れる鈴鹿を心待ちにし、「やっぱりここは最高だ、それも圧倒的な差で」と言ってくれた。今年かぎりで引退を表明し、鈴鹿ラストランとなるセバスチャン・ベッテルも鈴鹿への特別な思いを何度も口にし、日本語で「アリガトウゴザイマス、スズカ」と語った。ベッテルのみならず、どのドライバーもファンサービスは格別だった。

 2年続けて開催を断念しなければならないという苦境に直面しながら、粘り強く準備と交渉を続け、ここまで辿り着いてくれた鈴鹿サーキット関係者の多大なる努力も計り知れない。

 こうして我々の元に戻ってきた3年ぶりの鈴鹿は、多くの感動と希望をもたらしてくれた最高の3日間だった。そしてこれからは、もっとすばらしい未来が待っている。そう確信させてくれた、最高の日本GPだった。

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