フェルスタッペン優勝の裏にあったメルセデスAMGとの駆け引き。度重なるアクシデントへの対応にとったそれぞれの戦略 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

瞬時の決断が冴えたレッドブル

 SCからのリスタートでミディアムのハミルトンはタイヤの温まりが遅く、フレッシュなソフトタイヤを履いたフェルスタッペンはいとも簡単にオーバーテイクを果たした。もしラッセルも2位にとどまっていれば、2台を抜くにはもう少し時間を要したことだろう。

 しかし、純粋なペースで優るレッドブルとフェルスタッペンにとっては、時間の問題だった。それがわかっていたからこそ、メルセデスAMGは後方のシャルル・ルクレールやセルジオ・ペレスに抜かれて表彰台を逃さないよう、1台だけでもソフトタイヤに交換する保険をかけたわけだ。

母国GPを2年連続で制したフェルスタッペン母国GPを2年連続で制したフェルスタッペンこの記事に関連する写真を見る レッドブル対メルセデスAMGの2ストップ対1ストップの戦い。ハード対ミディアムの戦い。いずれもその勝負の行方がわからないまま終わってしまったのは残念だが、苦しい状況のなかで確実に正しい戦略を決断して勝利をモノにしたレッドブルとフェルスタッペンの強さが光った。

「大観衆が大きな期待感をマックスに寄せていたが、昨年、非常に感心したのはそれをシャットアウトしてうまく戦い、今年はチャンピオンとしてここに戻って来て、さらに大きな期待感のなかでさらにうまく戦った。

 金曜はFP1をマシントラブルで失い、FP2はマシンの仕上がりがよくなかった。しかし、夜に大きくマシンを変えて予選でポールポジションを獲得してみせたのは、本当にすばらしかった。もちろん、決勝の勝ち方もね。プレッシャーに対して非常にうまく対処してみせたね」(クリスチャン・ホーナー代表)

 フェルスタッペンが王者としてさらに成長した姿を見せつけた勝利だった。

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