フェルスタッペンの大逆転優勝、その背景に何があったのか。ハミルトンも驚いた「フェラーリはハードを履いたの?」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

80ポイント差で前半戦は終了

 そして、このフェラーリの判断ミスを誘発させたのは、ほかならぬレッドブルのアグレッシブな戦略だ。38周目にフェルスタッペンをピットインさせ、アンダーカットの脅威を与えて判断を迫った。この揺さぶりがフェラーリの判断ミスを引き起こさせ、優勝を自分たちのもとに手繰り寄せたのだ。戦略面では、レッドブルのほうが一枚も二枚も上手だった。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は言う。

「フェラーリとはまったく違う戦略で戦っていたから、彼らが(39周目に)マックス(フェルスタッペン)をカバーするとは思っていなかった。しかし、彼らがチャールズ(ルクレール)をピットインさせてハードタイヤを履かせた時、今日は優勝も可能だと感じたんだ。

 小雨や風の影響もあって金曜より路面温度が20度も低くコンディションが大きく違っていたことを、彼らは考慮に入れていなかったのかもしれないね。レース前のシミュレーションでは、すべてがうまくいっても5位と6位が最大限だった。10番グリッドから優勝というのは、まったくの予想以上だ」

 まさにシーズン前半戦を象徴するようなレースを終え、フェルスタッペンは2位ルクレールに80ポイントもの大量リードでシーズン後半戦へと向かう。

 コンストラクターズ選手権でもフェラーリは97ポイントもの差をつけられ、気づけばメルセデスAMGが30点差で背後に迫っている。ラッセルがポールを獲り、予選のDRSトラブルで7番グリッドスタートのハミルトンが決勝で2位まで這い上がったメルセデスAMGも躍進著しい。

 コース上では大混戦でも、選手権はフェルスタッペンとレッドブルが大きくリードする、そんなシーズン前半戦が終わった。

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