角田裕毅の判断ミスでダブル入賞も水の泡。ガスリーとのバトルを止めなかったチームにも責任はある (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

またしてもノーポイント

「僕のほうが明らかにペースが速くて、何周か攻防していたんですけど......今になって見れば、ほかの機会を待つこともできたかなと思いますけど、正直もっとスペースを残してほしかったなというふうには思います。ただ相手もバトルをしているので、そんな簡単に大きくスペースを空けてくれるわけでもないですし、それも僕の予測が悪かったせいですし、次に向けて学ぶべき点かなと思います」

 角田が言外に示したように、チームメイトに対するバトルの仕方は、ほかのチームのドライバーに対するそれとは線引きが異なるのが当然だ。接触のリスクは取らず、チームの利益を優先すべきだろう。

 そういう意味では、ペースの速い角田を先行させず、本来の速さを無駄にした戦略も"チームの利益"には反している。オーバーテイクボタンまで使わせてバトルをさせるのは、守らなければならないソフトタイヤを無駄に痛めることにもなる。

角田裕毅はチャンスを台なしにしてしまった角田裕毅はチャンスを台なしにしてしまったこの記事に関連する写真を見る アルファタウリは決勝にハードとミディアムを1セットずつしか残しておらず、最初のスタートでミディアムを潰してしまったため、ソフトを使って戦わざるを得なくなってしまっていた。そんな戦略面の不利を背負っているにもかかわらず無駄な争いをさせたという点で、チームの判断ミスでもあったと言わざるを得ないだろう。

 ドライコンディションではQ1突破も難しいだろうという苦境のなか、雨の予選をうまく切り抜け、決勝では7位・8位を走行していた。スペインGPで見せたように、クリーンな週末をまとめ上げることで望外の結果が得られるチャンスだった。

 それを角田自身の判断ミスで台なしにしてしまった。そしてそれは角田だけでなく、チーム全体で避けることのできたミスだった。

 予選で下位に沈んだハースがダブル入賞を果たしたのとは対照的に、アルファタウリはまたしてもノーポイント。もはや、問題がマシンのポテンシャルだけでないことは明らかだ。

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