角田裕毅は「4位になれるなら、そっちを取る」。マシンが激しくバウンシングしてもパフォーマンスを優先するドライバーの性 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

勢力図はそれほど変わらない?

 だが、ドライバーは身体の負担が大きくとも、速いマシンセットアップのほうを選ぶ。アルファタウリのガスリーはそう言って、FIAが何らかの対策をしなければ30歳を迎える頃には杖をついて歩かなければならなくなるかも知れないと警鐘を鳴らした。

 角田はそれも理解できるとしながらも、自分は気にしていないと語る。

「ポーパシングに関してウチのマシンはそんなに悪くないですが、バクーではポーパシングがかなりひどくて僕らのクルマでも厳しいくらいだったので、彼が言っているのはそういうことかもしれません。

 僕としてはポーパシング対策よりもパフォーマンスのほうを優先したいですし、マシンがひどくバウンシングしてでも、それで4位になれるのならそっちを取ります。もちろんいいことではないですけど、僕はもう十分成長していますし(苦笑)、自分の背中のことはそんなに心配はしていませんね」

 FIAは金曜の走行データをチェックし、マシンにかかるタテGの許容範囲を策定。これを超えるポーパシング(バウンシング)が発生しているマシンは、車高を上げるなどの対策を執って是正しなければならなくなる。つまり、空力性能面で妥協を強いられることになる。

 しかし、勢力図にはそれほど変わらないだろうと角田は予想する。

「勢力図にはそんなに大きな変化はないんじゃないかと思っています。僕らにとって不利ではなく有利になってくれればと思いますけど、実際に走ってみないとわからないですね」

 第2戦サウジアラビアGPで立て続けにパワーユニットトラブルに見舞われていた角田は、ここで今季4基目のコンポーネントを投入して、最後尾グリッドからのスタートを義務づけられることになった。好パフォーマンスが期待できるサーキットだけにチームのこの判断は残念だが、荒れるレースが多いカナダだけにそこに賭けようという狙いもあるのだろう。

 今週末のモントリオールは雨絡みの予報で、すでに木曜から激しい雷雨に見舞われている。未知の要素も多いなかで角田とアルファタウリがどんな戦いを見せてくれるのか、期待したい。

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