フェルスタッペン13秒後方からの猛追が見たかった。ルクレール3戦連続の不運で「最高のバトル」はまたもお預け (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ペレスも優勝を譲る結果に...

 残り30周でルクレール対フェルスタッペンの優勝争いがどうなっていたのか? 両者ともにペースを維持して激しいバトルを展開したのか、それともリアタイヤのオーバーヒートによってグリップ低下に見舞われていたのか。33周目のVSCがあれば2台ともにピットインしていたのか、どちらかがステイアウトして昨年最終戦のような争いになっていたのか......。

 それは、誰にもわからないまま終わってしまった。

「ミディアムのデグラデーション(性能低下)が小さかったから、ステイアウトして引っ張り、リードを奪うことができた。ピットアウトした時点では13秒差と言われたし、大きなギャップだったけど、ハードタイヤに換えたあとも僕には少しアドバンテージがあったから、ギャップを縮めていった。

 あの後のチャールズ(ルクレール)との争いは、とても面白い戦いになっていたはずだよ。相手のリタイアという幸運も少しあったけど、それがなくても僕らのクルマはものすごく速かったしギャップを縮めていたし、レースの主導権は僕らにあったと思う」(フェルスタッペン)

 スタートで首位に立ったセルジオ・ペレスは序盤をリードしたが、ミディアムのリアタイヤにグレイニング(タイヤのささくれ摩耗)が発生してペース低下。1周1秒速いフェルスタッペンに対して、レース前の取り決めどおり「戦うな」と指示され、首位を譲った。しかしこの時点では、ルクレールがリタイアし、これが優勝を譲る結果になるとは、ペレスも思っていなかっただろう。

 ルクレールと同様に9周目のVSCでピットインすることを望んでいたペレスだが、コミュニケーションのわずかな遅れでピットインできず。これもレッドブル同士の優勝争いができない原因になってしまった。

 もしペレスがルクレール同様に9周目でピットインを済ませていれば、ルクレールがリタイアしたとしても「逃げるペレス対追うフェルスタッペン」という戦いが展開されていただろう。そういう場面になれば、ペレスもそう簡単に首位を明け渡すことはしなかったはずだ。

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