ハミルトンとフェルスタッペンはどちらがすごいのか? 元F1ドライバーが「速さ」と「メンタル」を比較 (3ページ目)

  • 川原田 剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄、村上庄吾●写真 photo by Sakurai Atsuo, Murakami Shogo

【37歳でもフィジカルに心配なし】

 一方のハミルトンは2022年シーズン、23歳のジョージ・ラッセルが新たなチームメイトになって、どんな変化が生まれるのか。ラッセルは見た目こそ優等生ですが、これまでコンビを組んでいたバルテリ・ボッタスのような従順なタイプではないと聞いています。巧くて勢いのあるラッセルと組むことで、元のハミルトンに戻るのか。それでも今のメンタルをキープできるのか。すごく注目していますね。

 ハミルトンは2022年1月に37歳になりますが、フィジカル面での心配はないと思っています。2021年シーズンはレース後に疲れている姿が何度か見られました。もちろん年齢的なところも多少はあるでしょうが、あれは相手がフェルスタッペンだったからです。これくらいで勝てるなと思っているところから、さらに追い込んで、追い込んでいかなければ勝てないんです。普通の何倍も疲れます。フェルスタッペン以外の相手だったら余裕のある戦いができていましたので、体力面での問題はないはずです。

 2022年はマシンのレギュレーションが大幅に変わります。どのチームがチャンピオン争いの主役になっていくのかは、フタを開けてみないとわかりませんが、24歳のフェルスタッペンと同じ世代がどんどん台頭していくと思います。

 2021年シーズンに強烈な輝きを放ったマクラーレンのランド・ノリス、ハミルトンの新たにチームメイトになるジョージ・ラッセル、2021年は目立たなかったですが、フェラーリのシャルル・ルクレールら、誰が来てもおかしくない状況です。ただ、ハミルトンやフェスタペンのレベルになるかっていうと、まだちょっと差があるなという気がします。

 若いドライバーたちがふたりのレベルに追いつくまでには時間がもう少し必要だと思いますが、ベンチマークとなるドライバーがふたりもいるというのは、今のF1界にとってすごく大きいです。若い選手たちはふたりをやっつけたいという気持ちでどんどん成長していくと思いますので、2022年シーズンも引き続きおもしろい戦いが見られるのではないかと期待しています。

(後編「角田裕毅の可能性」へつづく)

【Profile】 
中野信治 なかの・しんじ 
1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのCARTおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を活かし、SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)副校長として若手ドライバーの育成を行なっている。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や2021年からスタートしたF1の新番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当している。

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