レッドブル・ホンダ、ラストレースもフェルスタッペンの言葉に不安。「誰も望まない結末」だけは避けてもらいたい (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【アイツがやっているから僕も】

 ストロールは1周目のターン7で混雑のなかで行き場を失い、ライン外からラッセルを抜いている。しかし、ストロールは3周目のターン27手前で右端に寄ってバックオフしてラッセルにポジションを譲り返した。その後、ラッセルを先行させたことでDRS(※)を得たストロールはメインストレートで抜き返している。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 まさに、フェルスタッペンがハミルトンに対してやろうとしたことを、ストロールは綺麗に実行した。フェルスタッペンも右端に寄ってブレーキングをしていれば、ハミルトンは先行せざるを得なかったはずだ。つまり、これは「違う扱い」ではなく、こうするべきだったというお手本でしかない。

 フェラーリの2台は22周目のターン1で、まさにフェルスタッペンとハミルトン(37周目)のような攻防を繰り広げていた。だが、前方で角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)がセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に接触したことで黄旗が出て、ターン1アウト側にいたルクレールはランオフエリアに逃げてカットするかたちでポジションをゲインしている。

 ここまではフェルスタッペンと同じかたちだ。だが、直後にVSC(バーチャルセーフティカー)となり、フェラーリはレースコントロールの許可を得てVSC中の翌23周目のターン2出口でふたりのポジションをスワップしている。

 仮にほかの事例があったとしても、「アイツがやっているから僕もOK」ではなく、並んでターンインしていったバトルで相手に1台分のスペースを残さないのは「アウト」だ。ほかの全ドライバーが理解して守っているルールをフェルスタッペンも理解していれば、こんな主張にはならないはずだ。

 なにより、目の前のタイトル決定戦で勝つことに集中すると宣言しているのなら、そこはエネルギーを注ぐべき場所ではない。

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