レッドブルが「オールホンダ」でいざ勝負。新技術投入でロシア初勝利なるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう説明する。

「バッテリーの開発は非常に長い年月がかかるものですが、我々がこれまで貯めてきたノウハウ、そこにホンダの先進技術研究所であったり、四輪事業本部ものづくりセンターの量産向けの先行技術や量産開発に関わっているメンバーの知見からオールホンダとしての全面的な開発支援、そして(ESの設計開発を担当する)ミルトンキーンズのHRD-UKのメンバーも最後にがんばって、来年投入予定だったものを今年の後半戦に投入できました。

 厳しい選手権争いのなかですから、クルマのパフォーマンスを上げることは何でもしたい。我々が今季かぎりで撤退するということもあり、計画を前倒しして後半戦から投入しました」

 新世代バッテリーはセル材料から見直し、充放電の高効率化を果たすと同時に軽量化も果たしている。パワーユニットの性能向上だけでなく、軽量化による車体運動性能の向上にも貢献しており、その貢献は「小さくない」という。

「昨年まで我々の弱点のひとつは電気エネルギーだったのですが、今年はICEとMGU-H、MGU-K(※)を合わせて改善できたので、対他競争力の差は縮められたと思っています。バッテリーはそれとは別領域ですが、今回の高効率化でさらにその差が詰められると考えています。高効率だけでなく軽量化も果たしていますので、車体パフォーマンスにも寄与できるものになっています」

※MGU-K=Motor Generator Unit-Kineticの略。運動エネルギーを回生する装置。

 フェルスタッペンはイギリスGPのクラッシュでパワーユニットをライフ半ばで失っており、残り8戦のどこかで4基目を投入してグリッド降格ペナルティを受けなければならない。

 比較的オーバーテイクが可能なソチ・オートドロームはそれに最適な場所だと考えられているが、もし実力で優勝を狙える可能性があるようなら、その戦略を見直すこともあるようだ。

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