日本人F1ドライバー角田裕毅、天性のドライビングセンスに世界が注目 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 だからルーキーの角田には、学ばなければならないことが山のようにある。すでに過去のマシンで幾度もプライベートテストを行なっているのも、そのためだ。

 しかし、2021年型マシンをドライブする機会は開幕までに1日半しかなく、それまでにすべての準備を整えることは不可能だ。当然、すでに3年のF1経験を持つピエール・ガスリーに開幕当初から勝てるとも思っていない。

 だからこそ、シーズン前半はミスを恐れることなくフリー走行や予選・決勝でプッシュし、マシンやタイヤや自身の限界を事前に知ろうとしている。コースを飛び出すことや、クラッシュすることもあるだろう。結果もなかなか残らないかもしれない。

 それでも、そういった"学び"を積み重ねることで、よりも早く成長してきたのが角田だ。シーズン後半戦にはその学びをしっかりと結果に結びつけることをターゲットとし、シーズン前半戦はトライアンドエラーにあてるつもりだ。

【写真】レースクイーンのONとOFF(5)厳選フォトギャラリー【30枚】>>

 F2でトップ争いを繰り広げてきただけに、世間では角田に優勝や表彰台を期待する声も多く聞かれる。

 しかし、アルファタウリ・ホンダは昨年ランキング7位のチームだ。中団グループは僅差であるとはいえ、アルファタウリのマシンがいきなりその中団のトップに浮上することは難しいだろう。

 仮に中団トップのマシンになったとしても、その前にはメルセデスAMGとレッドブルの4台がいる。表彰台はそう簡単に手が届くものではないし、F1もそんなに甘い世界ではない。

 まずは目に見える結果を期待するのではなく、ルーキーである角田の奮闘を見守り、その成長ぶりを楽しんでもらいたい。そして、シーズン後半戦に大きく羽ばたく彼の姿に期待したい。

(つづく)

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る