ミルがMotoGP王者に。猛追を実現したスズキのマシン特性とは (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 スズキのライダーがチャンピオンを獲得するのは、冒頭にも記したとおり2000年以来20年ぶり。チームランキングは02年に創設されたタイトルであるために、スズキの獲得はもちろん今回が初めて。そして、もしもコンストラクタータイトルを獲得すれば、これは1982年以来、38年ぶりのことになる。

 スズキが果たして史上初の三冠を達成するかどうかは、次戦の結果を見るまでわからない。だが、これほどまでの強さを発揮している彼らの今の姿は、2011年末の活動休止と、それを乗り越えて15年シーズンに復帰を果たした苦難の経緯を想起すれば、ファンならずとも感慨を覚えることだろう。

 しかも、彼らはそれを、鈴木式織機株式会社の設立100周年、1960年にマン島TTへ初挑戦してから世界グランプリ参戦60周年、という節目の年に達成した。さらにいえば、グランプリの勝利総数は、先週の第13戦ヨーロッパGPでミルが初優勝を挙げたことにより、160になった。

 だが、これらの記録はただの通過点である。記録は達成した瞬間に、すべてただの数字になる。次に彼らが更新するべき目標は、さらに高く険しい場所にある。さらに、王座からの追い落としを狙うライバルたちの猛追がそこに加わる。この厳しく難しい戦いを、2021年のスズキは戦うことになる。

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