レッドブル・ホンダの課題を中野信治が指摘。「僕も経験した状況が再び」 (2ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●写真 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 開幕前のテストからレッドブルのマシンはスピンするようなケースが多く、ピーキーなクルマなのかな、という印象を持っていました。実際にフタを開けてみたら、そのとおりでした。アレックス・アルボンの走りを見ていると、むしろ昨年以上に扱いづらくなっているように感じます。

 昨年、アルボンが初めてレッドブルのマシンに乗ったベルギーGPへ行き、アルボンとチームの無線を聞かせてもらう機会がありました。その時から、アルボンは「オーバーステアで乗りづらい」と話していました。それでも「何とか自分でコントロールするよ」と冷静に話しているのを聞いて、強い精神力の持ち主だと感心しました。

 昨年のアルボンはシーズン途中にピエール・ガスリーに替わってレッドブルに加入したにもかかわらず、すごく落ち着いたドライビングで着実に結果を残していました。これなら2020年はもっとやってくれるだろうと期待していました。でもシーズン序盤は苦しみ、初表彰台に上がったのは第9戦のトスカーナGPでした。

 マックス・フェルスタッペンもアルボンと同様にずっとオーバーステアだと言い続けていますが、彼はしっかりと結果を出しています。あのマシンでレース中、速いペースで走り続けられるのは、ずば抜けたマシンコントロール能力を持つフェルスタッペンだからできること。アルボンが遅いというわけでは決してありません。

 もしアルボンが今、アルファタウリのマシンに乗れば、きっとガスリーと同じような活躍をしたでしょう。でも逆にガスリーがレッドブルに復帰したとしても、おそらくアルボンと同じような結果になってしまったと思います。目に見えない難しさがF1にはあるんです。

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