レッドブル・ホンダ、インディ500優勝に刺激。劣勢も最適な妥協点を探る (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 導入準備が進められていた予選モードの禁止(正確には予選と決勝でのモード切替の禁止)は、次戦のイタリアGPへと先送りされた。

 つまり、ベルギーGPではこれまでどおりの厳しい戦いが予想される。それはホンダの田辺豊治テクニカルディレクターもよくわかっている。

「ここからの3連戦は、スパもモンツァ(第8戦イタリアGP)も高速サーキットで、ムジェロ(第9戦トスカーナGP)もかなり高速。かなり厳しい戦いになるのではないかと思っています。

 当然、パワー感度(パワーがラップタイムに与える影響)の高いサーキットではパワーユニットに求められるものはパワーになりますので、絞り出すだけ絞り出すしかない。マシンパッケージとして(ダウンフォースとドラッグレベルの設定を)どこまでチームと一緒にやれるかだと思います」

 パワーがなければ、最高速を確保するためにダウンフォースを削らなければならず、コーナーを速く走ることができなくなる。ダウンフォースがなければ、コーナーを速く走るためにはウイングを立てなければならず、ストレート最高速が遅くなる。

 理論上の最速ラップタイムとなるように、最適な妥協点を見つけ出す作業を行なうわけだ。だが、実際にコース上を走ってみれば理論どおりでなかったり、ラップタイムが最速でもストレートが遅ければ決勝では競争力がないため、タイムを捨ててでもダウンフォースを削らなければならないこともある。

 田辺テクニカルディレクターの言う「マシンパッケージとして」というのは、そういう意味でうまくマシンを仕上げる必要があるということだ。

 パワーでもコーナリング性能でも負けていれば、勝ち目はないように思える。

 しかし、スパ・フランコルシャンと同じように全開率が高くパワー感度の高いシルバーストンで、レッドブルは予想以上の善戦をした。予選では大差でも、決勝では差は小さくなる。

 実力で勝つことは難しくても、そのセットアップのバランスをきちんと見つけ出して自分たちの実力を最大限に引き出していれば、王者メルセデスAMGに何かの綻びがあれば、そこに付け入ることができる可能性も出て来る。

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