MotoGP「無敵の王者」マルケスの少年時代。デビュー前にいきなり骨折 (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 話を11年に戻そう。Moto2クラスへの昇格にあたり、アルサモラは大手燃油企業や金融機関をスポンサーに据えてチーム・カタルーニャ・カイシャ・レプソルを結成する。このチームでチーフメカニックを担当したサンティ・エルナンデスは、マルケスが最も信頼する右腕として現在に至るまでグランプリをずっと伴走し続けている。

 Moto2昇格初年度にも関わらず、マルケスはシーズン7勝という卓越した成績を挙げ、才能を大きく開花させていく。だが、この年のタイトルを逃し、ランキングは2位で終えた。

 最終戦ひとつ手前のマレーシアGPで転倒を喫した際、その影響が右目の視神経に及び、シーズン最後の2レースを欠場したからだ。シーズンオフには、二重視を矯正する手術をした。選手生命を左右しかねないほどの負傷を経験したマルケスは、厳しい試練を乗り越えて、12年に2年目のMoto2シーズンに臨んだ。

 この時、彼の年齢はまだ19歳に過ぎない。
(つづく)

【profile】 マルク・マルケス Marc Márquez  
1993年2月17日、スペイン・サルベーラ生まれ。幼少期からオートバイに乗り始める。カタルーニャ選手権やCEV(スペイン選手権、現・FIM CEV レプソル国際選手権)で実績を積み、2008年に125ccクラスでデビュー。10年に同クラスで年間グランプリとなる。11、12年のMoto2クラスを経て、13年に最高峰のMotoGPクラスに昇格。MotoGPクラスで19年までに計6回のチャンピオン獲得。2020年シーズンはレプソル・ホンダ・チーム所属。

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