2020.07.23

日本での挫折をきっかけに変身。ホルヘ・ロレンソは王座へ歩き出した

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

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MotoGP最速ライダーの軌跡
(4)
ホルヘ・ロレンソ 上

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。
4人目は、ホルヘ・ロレンソ。向こう気と愛嬌が印象的な人間味あふれる王者の歩みをたどっていく。
2005年に250ccクラスにステップアップしたホルヘ・ロレンソ ホルヘ・ロレンソが、己のライディングを顧(かえり)みる大きな転機になったレースは、2005年の日本GPだったという。

 この年は、125ccクラスから250ccクラスへステップアップした最初のシーズンだった。日本GP当時の彼は、優勝こそまだ経験していなかったものの、ポールポジションと表彰台はともに複数回獲得していた。中排気量でのレース初年度だったが、小排気量時代から培ってきた自分に対する自信がどんどん深まっていた時期だった。

 ロレンソはこの時期すでに、後年に彼の代名詞になる"Por Fuera"(ポルフエラ:大外からのオーバーテイク)を、自らのキャッチフレーズとして標榜していた。そして、レース中は相手選手と接触するような強引なバトルも平気で仕掛けていく傍若無人な乗り方を自分の「スタイル」としていた。その荒っぽいライディングは批判も少なくなかったが、「それならば実力でねじ伏せてみろ」とばかりに反発を示し、他のライダーや関係者からの苦言にもあまり聞く耳をもっていなかった。

 そんな矢先に、日本GPの決勝レースでアクシデントが発生した。