2020.07.02

天才ケーシー・ストーナーの歩み。「よく転ぶライダー」から王者に

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

MotoGP最速ライダーの軌跡(3)
ケーシー・ストーナー 上

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。
3人目は、ケーシー・ストーナー。類まれな才能で圧巻のレースを繰り広げた彼の歩みをたどっていく。

 ケーシー・ストーナーは、最高峰クラスのMotoGPに昇格して2年目の2007年にチャンピオンを獲得した。

2006年、LCR時代のケーシー・ストーナー 紛れもなく、天才である。それは、シーズン全18戦中10勝を含む14回の表彰台獲得、という圧倒的な成績がなにより雄弁に物語っている。さらに言えば、そのシーズンはホンダからドゥカティのファクトリーチームへ移籍した最初の年でもあった。

 この卓越した成績が、彼のぬきんでた能力によるものであることは明らかだが、その事実を認めたがらない声も、実は07年当時には少なからずあった。

 ある者たちは、MotoGPの技術規則変更によりエンジン排気量が990ccから800ccになったことがドゥカティに利したからだ、とまことしやかに言った。またある者たちは、ストーナーは先進的な電子制御技術に頼った現代的なライディングの申し子なのだ、と皮肉ぶって評した。