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王者ハミルトンが語る2019年のF1。
4つのステージに分けて検証した (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 実際には第2戦・バーレーンGP、第4戦・アゼルバイジャンGP、第7戦・カナダGPはフェラーリが勝っていたはずのレースであり、開幕8戦は「メルセデスAMG=5勝vsフェラーリ=3勝」とかなり拮抗した戦いになっていたはずだった。

 いわば開幕からの第1ステージは、パワーで押すフェラーリを総合力のメルセデスAMGが抑え続けた8戦だったと言える。

 シーズンの第2ステージは、第9戦・オーストリアGPから夏休み前の第12戦・ハンガリーGPまで。

 レッドブル・ホンダが車体の改良によって競争力を取り戻し、一気にメルセデスAMGに迫る速さを身につけてきた。オーストリアGPでは初優勝を遂げ、続く第10戦・イギリスGPでもパワーサーキットであるにもかかわらず、ターボラグの問題がなければポールポジション獲得という走りを見せた。

 そして、第11戦・ドイツGPでは優勝し、ハンガリーGPではついに初ポールポジションを獲得。さらに決勝でも、メルセデスAMGのハミルトンと壮絶な一騎打ちを演じて見せた。

 それに対してフェラーリは、もともとドラッグ(空気抵抗)を減らす設計コンセプトであり、ダウンフォースが乏しい。加えてマシン改良がうまく進まなかったため、コーナリング性能ではメルセデスAMGやレッドブルに対抗できなくなり、シーズンの第2ステージでは完全に後れを取る場面が目立った。

 ある意味では、この第2ステージは純粋なマシンパッケージの速さの争いだったとも言える。

 シーズン第3のステージは、夏休み明けの5戦(第13戦・ベルギーGP〜第17戦・日本GP)だ。

 このステージではフェラーリの戦闘力が急激に増し、5戦連続ポールポジション獲得を果たした。

 これは、パワーユニットのグレーゾーンを突いた使用方法による予選でのパワー向上と、車体の改良によるものだった。その一方でメルセデスAMGとレッドブルが来シーズンに向けて開発リソースを移行させ、今季型マシンの開発を止めたことも影響した。それがフェラーリの性能が急激に向上したように見えた理由だ。

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