F1日本GPで痛感したフェラーリとメルセデスの「違い」 (2ページ目)

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ベルギーGP以来、5戦連続のポールポジション獲得という結果が示すように、少なくとも予選一発の速さという点でいえば、今回もフェラーリには一定のアドバンテージがあったと見ていいだろう。一方で、レースペースやタイヤマネジメント関しては「メルセデス優位」との見方が強かったが、それでも、フロントロウの2台がレース序盤できっちりとポジションをキープできれば、ストレートラインの速さという武器を持つフェラーリにはレースをコントロールするチャンスがあると思っていた。

 ところが、ベッテルとルクレールは共にスタートに失敗してポジションを落とし、さらにルクレースは直後の1~2コーナーでアウト側を走っていたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに接触! フェラーリはレース開始からわずか数秒で「勝利へのシナリオ」を台無しにしてしまう。

「スタートの失敗は単なる自分のミス。(スタートシグナルより)一瞬、早くクラッチをつなげてしまい、止まろうとしたせいで、普通のスタートミスより酷いコトになってしまった」とベッテル。「フロントのダウンフォースを失い、アウト側に膨らんで(フェルスタッペンに)接触してしまった......」とルクレール。

 いずれも「単純なミス」と言えばそれまでだが、その代償は大きく、フェラーリの出遅れに乗じてトップに立ったボッタスは、その後、楽々とトップを快走して優勝。ベッテルはボッタスのテールを脅かすことすらできなかった。

 レース後「今週末は結果的にメルセデスの速さが上回っていたと思う」とベッテルは語っていたが、そのベッテルがレース終盤、ニュータイヤで背後から猛追するハミルトンを辛うじて抑えきり、チェッカーまで2位を守り抜いたことからもわかるように、ストレートの速さで勝るフェラーリをコース上でオーバーテイクするのは容易ではない。もし、スタートで2台のフェラーリが確実にメルセデスの前でポジションをキープできていれば、レース展開はまったく違うものになっていた可能性はあった。

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