アルボンの快走は予想以上!レッドブル・ホンダの5位は次につながる (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 レッドブルも、トロロッソも、すでに年間3基の規定数を超えてしまっている。そのため、パワーユニットを投入するたびに、最後尾グリッドスタートのペナルティを科されてしまう状況下にある。

 そこでホンダは、ベルギーGPとイタリアGPで投入する新品スペック4と、これまでに使ってきた中古のスペック2やスペック3とをやりくりして、残りのレースを走り切るつもりだ。そのためにパワーを抑えて、ここ一番という場面以外ではできるだけ負荷をかけないように使っていくという。それは、不用意なペナルティを受けず、真剣にチャンピオンシップのランキング争いに向き合っている証でもある。

 それゆえに、真っ向勝負で2強チームに対して勝ち目がないパワーサーキットでは、最初から割り切って5位・6位という「チーム3番手」のポジションを確保することを目標とする。必要以上にエンジンを使わないという戦い方もアリ、という考え方だ。

 ただし、17番グリッドスタートのアルボンが、想像以上にすばらしい走りを見せた。加入したばかりのレッドブルで、チームとマシンの習熟を第一に週末を過ごしながらも、決勝では次々とオーバーテイク。最後は他車の脱落にも助けられて、中団グループの全車を抜いて5位まで浮上することに成功した。

 ターン8でルノーのダニエル・リカルドにインをブロックされると、一旦は引いて立ち上がりでクロスラインを仕掛け、次のターン9でアウトから抜き去った場面。そして、最終ラップのケメルストレートで幅寄せされて芝生にタイヤを落としながらも、レーシングポイントのセルジオ・ペレスを抜き去った場面......。

 まだマシンに「完全に慣れきっていない」と言うアルボンだが、こういったバトルの場面でアグレッシブにオーバーテイクを成功させていった。なによりすばらしかったのは、その最中も冷静に状況を見極めてバトルを制していたことだ。

 時速300kmオーバーで芝生にはみ出て、あわやという場面に見えたペレスとのバトルも、アルボンは冷静に駆け引きをして、あのチャンスを生み出していた。

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