2019.06.29

レッドブル・ホンダの悲しい現実
「フェラーリ2台がミスれば表彰台」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 パワーが上がれば、ストレートでのロスは小さくなる。しかし、ダウンフォースをつけなければ曲がれないという症状は変わらない。レッドブル・リンク以外の一般的なサーキットでフェラーリに勝てるようにするためには、空力を改善し、コーナリング性能を上げなければならない。

「表彰台に乗りたければ、僕らは車体側もエンジン側も、もっとパフォーマンスの向上が必要なんだ」

 ホンダとしても、パワー向上の必要性を認識している。しかし、現時点での最高速不足がパワーのせいだけでないことは、田辺豊治テクニカルディレクターも示唆している。

「ストレート(スピード)はドラッグとパワーのバランスで決まりますからね。今の我々のバランスは、遅いほうにいる。ラップタイムとして遅いほうにいるということは、トータルのパフォーマンスを上げていかなければならないということ。そこはお互いに手を緩める気はありません」

 前戦のフランスGPでは予選から急に失速し、精彩を欠いたピエール・ガスリーも、これが原因ではないかというおおよその答えは掴んでいるようだ。オーストリアGPでは問題ないだろうと言う。それでも、フェルスタッペン同様に苦戦を覚悟している。

「(これが原因ではないかという)アイデアはあるよ。それが正しいかどうか、まだハッキリと断言はできないけど。去年のレッドブルのマシンは、パワーでは大きな不利を抱えていたけど、車体性能ですべてのライバルたちに優っていたから、コーナーでタイムを稼ぐことができていた。でも、今年のマシンでそれをやるのはトリッキーだろう」

 レッドブルにとっては地元レースであり、今週末にかける思いは強い。その思いはトロロッソもホンダも共有していると、田辺テクニカルディレクターは語る。

「トロロッソはイタリアが地元ですが、レッドブルグループとしてはここが本拠地。チームとして、重点レースであるということはたしかです。だが、今までに投入したなかで最善を尽くすことしかできません。年間のアップデート計画のなかで、きちんとすべてをやり切りたいと思います」

 車体はフランスでアップデートを投入し、パワーユニットも年間3基しか使用できないため、地元スペシャルを投入して戦うようなことはできない。手持ちの道具でいかに性能を引き出して速く走るか、という勝負になる。レッドブル・ホンダの厳しい地元レースがこうして始まった。

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