F1にホンダジェットの技術を投入。レッドブルは2強に追いつけるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 レッドブルの2台に加えて、規定を超える今季4基目のICE投入でグリッド降格ペナルティを科されてしまうトロロッソも、2台のうちダニール・クビアトはペナルティを受けてでもスペック3の投入を選んだ。それだけ、スペック3に対する期待値が高いと言える。

 さらに、レッドブルはこのポール・リカールに車体のアップデートも多数持ち込んできている。

 木曜の時点ではまだそのほとんどをピットガレージの奥に隠し、ライバルたちに見せないようにしていたが、これまで抱えてきた空力的な不安定さとグリップ不足の改善が大きく進むと期待される。

 しかし、今季型マシンが抱えた問題を一度のアップデートで完全に解決するのは難しいだろうと、マックス・フェルスタッペンは語る。

「今年からフロントウイングがシンプルになって、それまでフロント回りの気流をうまく制御できていた僕らは、その強みを少し失うことになった。新型フロントウイングによる気流をうまく最適化できていない。それをファインチューニングして解決するには、もう少し時間がかかるよ」

 ただ、マシンの設計コンセプトに関わるような「根本的な不具合を抱えているわけではない」とも、フェルスタッペンは言い続けている。

「マシンの基礎的な部分に何か問題があるとかではなく、ただ単純にもっとグリップがほしい。グリップがあれば、もっと速いスピードでコーナーに飛び込んでいくことができるから。去年の僕らのクルマがまさにそうだったように、グリップがあればタイヤにも優しくなるしね」

 グリップレベルがもっと上がれば、予選で速く走ることができ、決勝でもタイヤをいたわることができる。必要以上にリアウイングを立ててリアの安定性を確保する必要はなくなり、パワーでやや後れを取っていても、ストレートスピードをライバルと同様のレベルまで伸ばすことができる。

 前戦のカナダGPではパワー負けしたが、中高速のシケインでは挙動を安定させるために、リアウイングを立てなければならなかった。それが、ストレート後半での最高速の伸びを削ぐことになった。空力性能が改善されてグリップが上がれば、それも一気に改善する。田辺テクニカルディレクターがいつも言う「トータルパッケージとしての進歩」というのは、そういうところだ。

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