狂喜乱舞。イタリアGPでイタリア人がイタリア製バイクで初優勝 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「過去には、自分には(プロフェッショナルライダーは)向いていないのでもうやめようと思ったことが何度もあった。今年の序盤も、単年契約なので自分にプレッシャーをかけすぎて、序盤数戦はあまりいい成績ではなかった。

 その時に、アンドレアが『将来のことを考えず、今のことに集中しろ』と助言をくれたんだ。『今、自分がやっていることを愉しみ、自分の長所を活かしてがんばれ』ってね。そこで、第4戦から『今年一年、十分にがんばれば、それでいい。このバイクで勝てないのなら、どんなバイクでもきっと勝てないだろう。だとすれば、自分は向いていないということだ』と考えるようになったんだ」

 今回のレースを2位で終わったマルケスと3位のドヴィツィオーゾも、それぞれのレース展開を振り返ったあとに、自らペトルッチの優勝に言及して、「今日はダニロがレースを終始リードしていて、とても速かった。あれなら勝って当然だよ」(マルケス)、「ダニロはすごくがんばってきたから、彼の優勝はとてもうれしい」(ドヴィツィオーゾ)と彼を称え、祝福した。

 2012年に初めてムジェロのホームグランプリに臨んだ時は最後尾からのスタートだったライダーが、7年の歳月を経て、誰よりも速くチェッカーフラッグを受け、表彰台の頂点に立った。今年のイタリアGPは、「ミスター・ナイスガイ」の優勝が周囲の人々にも笑顔をもたらす、そんな一日になった。

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