鳥羽海渡のMoto3初優勝に奮起。今年の日本人ライダーはひと味違う (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「スタートがうまく決まってトップグループにつけることができたけど、横から突っ込まれて転倒して......自分のせいじゃないとはいえ、後ろから追い上げる展開だとそういうこともありえるから、そんな場所に自分がいたのが悪い、ということですね」

 彼ら日本人選手5名の実力を比較してみた時、それぞれが胸に期するものを持っているだろうことは間違いないが、そのなかで誰かひとりが抜きん出て速いわけではけっしてない。

 そんな彼らのなかから、まずひとりが優勝を飾ったことは、本人自身の大きな自信になるだけではなく、上記の各コメントからも読み取れるとおり、残り4名の自尊心と闘争心を強く刺激する結果にもなった。これが開幕戦の出来事だったことも、長いシーズンを高いモチベーションで戦い抜いていくという意味で、彼ら5名には絶好の報奨になったと言えるだろう。

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 Moto2クラスは、昨年同様に長島哲太(ながしま・てつた/ONEXOX TKKR SAG Team)が唯一の日本人選手だ。今季は、一昨年に所属していた古巣チームからのエントリーで、開幕戦は14番グリッドからスタート。3周目に転倒リタイアを喫し、ノーポイントで終えた。

「序盤からフィーリングがよくて、前に行きたかったけれども他の選手に捕まってしまった。その選手が1コーナーでワイドになったので、そのまま自分のラインでイン側からコーナーに入っていったら、少しだけ速く入り過ぎたようで、フロントが切れて転倒してしまいました。データでチェックしてみたら(理想の進入速度よりも)3km/h速かったようで、ホントに少しなんですけど、なにもできずに終わってしまい悔しい結果になりました」

 この言葉からもわかるとおり、この転倒は長島の特徴が悪いほうに出てしまったことが原因、と言っていいだろう。

 長島は、フリープラクティスから常に上位に顔を出すような選手ではない。どちらかといえば、中段かやや上あたりのグリッドからスタートし、周回ごとに追い上げてトップテン圏内を射程に収めていくようなライダーだ。決勝での勝負に強いとも言えるし、予選までのセッションの着実な積み上げに課題を残しているとも言える。

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