レッドブル・ホンダ、テスト結果は上々。ようやく春が訪れる予感 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 そのため、ライバルたちのように、ラップタイムを狙った3周アタックは行なっていない。

 目先のラップタイムよりも、2日間255周に及ぶ膨大なデータをもとに、RB15の性能を最大限に引き出すことができるセットアップと開発の方向性を、ここでしっかりと見定める――。それが、レッドブルのテストプログラムだ。

 メルセデスAMGとフェラーリも多少の差こそあれ、おおよそ同じような方針でテストをこなしている。今年はフロントウイングに代表されるように、一部のマシン規定が変わってダウンフォースが減っているだけに、あらためてその部分の見極めが重要だからだ。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう語る。

「テスト1週目の主目的は、マイレージを重ねて、車体とパワーユニットの複雑な集合体についてしっかりと理解を深めることだ。それぞれが調和して機能しているのか、それを理解していかなければならない。

 だからテスト1週目は、まずはマイレージを稼ぐことが重要だった。データはリアルタイムで(ホンダの欧州活動拠点である)ミルトンキーンズに送られ、多くのエンジニアが分析してマシン特性を学び、長所と短所をしっかりと把握する。そうすることで、何カ月も先の開発の方向性を見定めていく」

 つまりレッドブルは、今回のテストで目先のタイムは狙っていない。今は遠回りをしているように見えるが、最終的に最高の状態に持っていくため、最大の近道を地道に歩いているのだ。

 テストでのタイム差は、前述のように「燃料を何kg積むか」でいくらでも調整できるため、ライバルとの相対的な比較には適さない。それでもマシンの素性はいいと、両ドライバーとも語っている。

「自分たちのクルマで何がうまく機能するのか、しないのか、僕らはそれを確認する作業に集中しているので、他チームのことは見ていない。今は車体やパワーユニットからどれだけ性能を引き出せるのかを見ないと。ラップタイムには表れていないけど、ペースはまだまだ上げられるから、マシンの全体的なフィーリングはとてもいい」(ガスリー)

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