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挑戦してわかった。スーパーカブで
時速200km出すのは超タイヘン (4ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by SMC

──命がけの走行の結果、もっとも良かった記録は153.73km/hでした。この数字をどのように評価していますか。

「今回、NSX-01が走ったのはAPS/AGクラス(4ストローク125ccで、燃料はニトロ使用不可)。クラスは違いますが、今年最大の目標は、排ガス規制前でフルパワーの2ストローク・アプリリアRS125をベースにした30馬力のマシンが記録した196.8km/hという数字でした。数字だけ見ると完敗です。まったく満足していません。しかし、非力なカブで圧倒的なパワーを誇る2ストマシンの記録に挑んでいくうちに、"世界最速のスーパーカブ"という称号を与えられたことには感謝しています。

 それと、今回NSX-01は24回の走行をしたのですが、一大会でこれほど多く連続走行を成し遂げたのは100年を超えるボンネビルの歴史でも初めてだったようです。これはスーパーカブと日本のものづくり技術の品質、信頼性を示すものでしょう」

挑戦して初めてわかった難しさ。2019年はさらに上を目指す挑戦して初めてわかった難しさ。2019年はさらに上を目指す

──2019年の挑戦に向けて手応えを得たと思っていいのでしょうか。

「僕らが最終的に目指す50ccでは、2008年にストリームライナークラス(ニトロ使用可能、改造無制限のクラス)で、アプリリアが2ストロークターボを使って233km/hという、信じがたい記録を樹立しています。エンジンや燃料の条件が異なるため別クラスにはなりますが、あくまで目標はこの絶対的記録に置きたいです。これを目指すにはエンジン面でターボやスーパーチャージャー、インジェクションに加え、排気系にも強制排出や強制燃焼などの新技術投入が必要でしょう。

 一方、車体のほうでは静岡文化芸術大学の羽田隆志教授が設計した究極の操舵&サスペンション機構『バーチャルステアリングシステム』が空気抵抗軽減の切り札となるはずです。これは簡単にいうと、フロントタイヤにスイングアーム式のサスペンションと操舵装置を組み込むもの。2018年大会には間に合いませんでしたが、今回得られたデータを活かして、すでにマシン設計にとりかかっています。設計段階ではNSX-01より車高をさらに30cmも低くできるそうです。誰もやったことがないことをやるわけですから準備は大変ですが、いまは期待のほうが大きいですね」

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 1ドルの賞金すら出ないのに、"世界最速"という名誉のためだけに多くのチャレンジャーが集結するボンネビル。手づくりのロマンも残しつつ、日本の技術力を武器に2年目にかけるスーパー・ミニマム・チャレンジは、はたして金字塔を打ち立てることができるだろうか。

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