「ゴーン逮捕」に揺れる日産。スーパーGTで聖域を設けず雪辱を期す (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 スーパーGTは年間8戦と開催数が多くないため、シーズンを通した"流れ"も重要になる。第6戦以降はホンダ勢やレクサス勢が勢いを増す一方、日産勢は波に乗れずに苦戦。最終戦を待たずにチャンピオン争いから脱落してしまった。

 シーズン終了後に行なわれる日産/ニスモのファン感謝イベント「NISMO FESTIVAL」には今年も多くのファンが集まり、とくに日産/ニスモのモータースポーツ活動を長年支えている「日産応援団」は、最後までドライバーたちに声援を送り続けていた。

 そんな熱心なファンに対して、マシンの製作を手がけるニスモを代表する片桐隆夫社長は、言葉をつまらせながら、このように挨拶した。

「ちょうど1年前、この場で『とにかく来年は雪辱を果たします。そして、ここでみなさんと喜びを分かち合いたい』とお話をさせていただきました。しかし、それが叶わず......本当に申し訳ございませんでした。我々も進化したつもりでおりましたが、ライバルの進化のほうがはるかに勝っていたというのが実態でした」

 昨年と比べて速さは取り戻しつつあるも、ライバルと比べると劣っている部分があることを認めた。しかし、このまま負け続けるわけにはいかない。来季に向けた対策は、すでに考えているという。

「もちろん、このまま終わるわけにはいきません。今はクルマやタイヤといったハード面のみならず、戦略といったソフト面もすべて見直していきます。(来年の開幕まで)時間は限られておりますが、できることをすべてやって、聖域を設けずに、とにかく雪辱を果たしたいと思っております」(片桐社長)

 ここで語られた"ソフト面"というのは、おそらくドライバー体制のことのようだ。これまではドライバー体制を大きく動かさないことが強みだった日産だが、来シーズンはそこにメスを入れて全面的な見直しを考えているのだろう。

 エースチームである23号車をはじめ、大幅なドライバーの入れ替えもありそうだ。ジェームス・ロシターや平手晃平など、他のメーカーから移籍してくるという噂も上がっている。

 来年、日産はどのような姿でトップへの返り咲きを目指してくるのか......。苦しい状況に追い込まれた彼らの反撃が楽しみだ。

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