タイム差0.115秒。名勝負を制したマルケスが日本GPでの戴冠へ前進 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 じっさいに、レースが終盤に差しかかった23周目や24周目には、マルケスは何度かロングストレート後のタイトな3コーナー進入でドヴィツィオーゾの前を狙っていたが、そのたびにややはらみ気味になって立ち上がりで抑えこまれる、ということが続いていた。

「それで最終ラップの勝負に切り替えたんだけど、最終ラップはチャンピオンシップのことも何もかも全部考えないことにして、とにかく自分の力を全部出し切った。残り数周で仕掛けたときは、うまくバイクを止めることができずに、いつもドヴィに抜き返されていたので、ちょっと立場が変わって今回は僕がドヴィのスタイルで、ドヴィがマルケススタイルでの戦いになった。いい勝負をできたと思う」

 この結果、マルケスとドヴィツィオーゾのポイント差は、さらに5点広がって77ポイントになった。次戦日本GP終了段階でマルケスとドヴィツィオーゾの間に75点差が開いていれば、マルケスの年間総合優勝が決定する。

 しかし、75点のギャップを維持するためには、日本GPの決勝レースでマルケスはドヴィツィオーゾの前でゴールしなければならない。たとえば、ドヴィツィオーゾが優勝してマルケスが2位、あるいはドヴィツィオーゾが2位でもマルケスが3位という結果で終われば、両者のポイント差は75点を割り込んでしまうからだ。

 マルケスとのバトルに敗れて、今回は2位に甘んじたドヴィツィオーゾは、「最終ラップで勝負に負けるのはもちろん残念だけど、チャンピオン争いは事実上カタがついているので、これからは一戦一戦、最高の結果を狙いながら、来年に向けた開発にも注力をする。残り4戦もしっかりと作業を積み上げ、来年こそはチャンピオン争いをしたいので、その地固めをしていきたい」と話している。

 そんなドヴィツィオーゾの前でゴールする、ということは、優勝を狙うこととほぼ同義といっていい。やはり、いつものようにそれは容易なことではないだろう。

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