タイム差0.115秒。名勝負を制した
マルケスが日本GPでの戴冠へ前進

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 またしても、名勝負が生まれた。

 MotoGP初開催のタイGP、ブリラムのチャーン・インターナショナル・サーキットで、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)とアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)が最終ラップの最終コーナーで順位を交錯させる激しいバトルを演じた。

またも激しいバトルを演じたドヴィツィオーゾ(中央)とマルケス(右)またも激しいバトルを演じたドヴィツィオーゾ(中央)とマルケス(右) マルケスとドヴィツィオーゾは、昨年のオーストリア・レッドブルリンクや雨のツインリンクもてぎ、そして今年の開幕戦カタールのロサイル・サーキットで、息を呑むような最終コーナーの攻防を繰り広げたが、いずれもすべて僅差でドヴィツィオーゾが勝利を収めていた。

 両者のタイム差は、レッドブルリンクで0.176秒、ツインリンクもてぎでは0.249秒、ロサイル・サーキットでは0.027秒。これらの数字を見れば、両選手のバトルの激しさは十分に想像がつくだろう。

 今回は、両選手の差は0.115秒。しかし、過去3回と違い、マルケスのほうがドヴィツィオーゾに先んじてゴールラインを通過した。

 最終コーナー入り口では、マルケスのイン側を狙ったドヴィツィオーゾが横並び状態から強烈なブレーキングで先に旋回動作へ入ったものの、ラインがややはらんだところへ、同じくリアを滑らせながらコーナーへ入ってきたマルケスがきれいにクルリと回って先に立ち上がり、ゴールラインを通過した。過去3回の〈ドヴィvsマルケス〉とは、攻守を入れ替えた格好だ。

「やっとリベンジを果たしたけど、今回の戦略はじつはこういう展開じゃなくて、残り7、8周くらいで引き離す作戦だったんだ」と、レースを終えたマルケスは明かした。

「ドヴィがかなりいいペースで走っていて、自分のほうが少し速かったかもしれないけど、フロントタイヤに熱が入り過ぎていたので、ブレーキングポイントでしっかりバイクを止めてオーバーテイクすることが難しかった。だから、最終ラップよりも早めに勝負を仕掛けてフロントタイヤの熱を逃がそうと思っていたんだけど、ドヴィが巧みな戦術で、抜かれるたびにすぐに抜き返してきた」

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