ホンダ全従業員の想いを乗せて。トロロッソは鈴鹿で大輪を咲かせるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 まずは金曜フリー走行で基本的な部分のデータをチェックし、ドライバーたちのフィードバックも聞きながら確認を行なうことになる。

「前回課題だったアップシフトや低回転域のドライバビリティ、ローンチ(スタート発進)周りやエネルギーマネジメント系などの確認ですね。スペックが違えばそのあたりのバランスも崩れてきますから、その点を注視しながら確認作業を進めたいと思います」(田辺テクニカルディレクター)

 スペック1やスペック2では初走行時からまったく問題が起きなかったオシレーションやドライバビリティが問題になったというのは、裏返せばそれだけスペック3の燃焼が従来とは異なるものになっているということだ。つまり、それだけパワーアップを果たしている。

 あとはしっかりとセットアップを煮詰めさえすれば、そのパワーが使えるのだ。ルノーを超え、メルセデスAMGやフェラーリにかなり近づくと言われている。

 ソチで金曜日に8番手タイムが記録できたのも、その証拠だ。1周アタックはなんとかオシレーションとドライバビリティに目をつむってまとめることができても、決勝の長い距離を走るのは厳しい。エネルギーマネジメントの問題もある。そのため実戦使用は断念したが、パフォーマンスに対する手応えはある。

「どのくらいかはまだハッキリとはわからないけど、パフォーマンスのゲインがあるのは確実だし、さらにスペック3で走り込んでファインチューニングを進めて、もっとパフォーマンスを引き出すのはポジティブなことだよ。ソチの段階でも、すでに1周アタックのパフォーマンスは向上していたんだ。それがレース週末全体を通して使う今週も生かされることを願っているよ。いずれにしても、パフォーマンスに関しては楽観視している」(ピエール・ガスリー)

 一方でSTR13は風向きの変化に弱く、ダウンフォース発生量が敏感に変化しやすい。長く回り込むようなコーナーや、左右に切り返すコーナーは苦手だ。

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