小林可夢偉、またも初優勝を逃す。不運が重なり「あと一歩」の2位 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 そしてその直後、ふたたびセーフティカーが導入されることになった段階で、レースの最大延長時間として決められた70分を迎え、レースは34周で終了。トップの座を守った関口が待望の今季初優勝を飾った。

 雨で難しいコンディションで白熱のバトルを展開した両者は、パルクフェルメで握手を交わす。そのとき、可夢偉はようやく笑顔を見せた。

 ただ、やり切れない気持ちは、心のなかに少なからずあったようだ。

「(再スタート後の)最初は踏ん張らないと、後がつらくなるだろうなと思ったので、ちょっと攻めたのですが......。その結果、失敗してしまいました。その後もチャンスがあるかなと思って(関口の隙を)うかがったんですけど、残念ながらセーフティカーが導入されて......。

 チームにとっても、僕自身にとっても、初優勝のチャンスでした。それをこんな形で落としたのは、非常に残念です。ただ、こういうレースを続けていけば、いつか勝てるんじゃないかなと思うので、引き続きがんばります」

 レース後の彼のコメントを聞いて、ふと予選後の可夢偉の言葉を思い出した。Q3で関口に僅差で逆転されたとき、可夢偉はこのように語っていた。

「(関口に逆転されたと知ったとき)......今年の僕は、2位に尽きるなと思いました」

 可夢偉が2位でフィニッシュしたのは、これで3回目。過去の2回とも、あと一歩という惜しい内容だった。

 スーパーフォーミュラ参戦4年目で、いまだ勝利なし。トップの座を手にするために何が足りないのか、小林可夢偉の模索の日々は続く......。

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