「流れ」を味方にして9位。でもトロロッソのパワー不足は未解決 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「予選あたりから周りのチームがダウンフォースをつけ始めてきたので、(直線主体の)セクター1とセクター3の我々との差が小さくなれば、こちらとしてはいい方向にいきますよね。おかげで、セクター2できちんと走れるセットアップを施した状態でもストレートで簡単に抜かれてしまうことにならなかったのは幸運だったといえますし、我々のポテンシャルを最大限に引き出すセッティングが当たったともいえます」

 もし、周りのチームがダウンフォースを削る方向にいっていればどうなったか。トロロッソ・ホンダは最高速の速いマシンに次々と抜かれていたかもしれないが、ダウンフォースを削ったマシンはタイヤのブリスターやデグラデーションに苦しみ、その点で優位なトロロッソ・ホンダは結果的にもっと上位にきたかもしれない。

 重要なのは、トロロッソ・ホンダが自分たちのマシンパッケージの性能をフルに引き出せたということだ。

 ただし、シーズン前半戦で度々問題になり、第12戦・ハンガリーGP後の合同テストでさまざまなトライを行なったセットアップの方向性の課題は、このベルギーGPでも依然として解消できていない。土曜のFP-3でウイングを削る方向に持っていけず、唯一の妥協点として落とし込んだダウンフォースをつけ気味のセットアップが、周りがダウンフォースをつけてきたことで正解になったというだけのことだ。

 次のモンツァでは、さらに薄い仕様の空力パッケージで走ることになる。パワーセンシティビティはスパ・フランコルシャンよりも低いとはいえ、コースのほとんどがストレートで全開率の高いモンツァでどこまで戦えるか。

 もっとも苦しいこの2連戦をどう乗り切るか、トロロッソ・ホンダの成長ぶりを見せてもらいたい。

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