不運続きの中嶋&関口コンビが「3度目の正直」でスーパーGT初優勝 (3ページ目)
ただ、これで36号車の優勝は安泰というわけではなかった。すぐ背後から1号車(ニック・キャシディ)が迫ってきていたからだ。残り10周を迎えるタイミングで、両者の差は2秒を切る大接戦。しかも、富士スピードウェイはブレーキへの負担が大きいコースだ。今回は500マイルの長距離戦なだけに、「最後までブレーキが保つのか」と、懸念の声もあがった。
「(一番ブレーキに負担がかかる)1コーナーでは少し余裕を持ってアクセルを離し、ブレーキの踏み方にも気を遣って、ブレーキの温度が上がりすぎないように心がけました。(ブレーキが)効かなくなったら、2、3周でダメになってしまう。残り10周あったから、早めに労わりながら走りました」(関口)
本来なら、とことん攻め続けるのが関口の信条だ。だが、今回は確実にレースをモノにするために、冷静なドライブに徹した。そして177周――4時間40分にわたる激戦が終了。36号車は悲願の今季初優勝を飾った。
第3戦・鈴鹿、そして第4戦・タイと悔しい思いをしている分、表彰台で喜びを爆発させるかと思った。だが、表彰台の中央に上がったふたりは、周囲の期待にやっと応えられたという安堵の表情を浮かべていた。中嶋はレース後、こう語る。
「自分たちとしては、勝たないといけないレースだと思っていました。ここで勝たないと今シーズン(のチャンピオン獲得のチャンスが)終わると言ってきたので、勝ててホッとしています。
クルマのパフォーマンス的には、12号車と同じか、僕たちのほうがちょっといい感じでした。(GT300クラスとの混走など)クルマを抜いていく展開のなかで、ノーダメージで最後までもってこられた。そのおかげで最後、ちょっとご褒美がもらえたのかな」
ドライバーズランキングでは、関口が40ポイントを獲得して2位へと浮上。チャンピオン争いに名乗りを挙げるポジションまで上がった。
シーズン中盤の悪い流れを、36号車はここで断ち切ることができた。残り3戦、このコンビがさらに飛躍する可能性は十分にある。
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