トロロッソ・ホンダの速さは何番目か。今季F1「真の戦闘力」を比較 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「ソフトはミディアムに比べてグレイニング(※)やブリスター(※)がかなり出るから、最適なマシンバランスを失いやすいし、それはスーパーソフトにも言える。それが舗装のせいなのか、路面温度のせいなのかはまだわからないし、そこはこれからデータを分析しなければならないけどね。間違いなく、そのタイヤの扱いがメルボルンのカギになるだろうね」

※グレイニング=タイヤ表面のゴムがささくれてサメ肌のような状態になること。
※ブリスター=タイヤの温度が上昇し、タイヤ表面が膨れ上がったり気泡ができること。

 その成否によっては、入賞圏ギリギリを争うポジションまで浮上してくることも可能だろう。

 加えて、最終スティントのミディアムでもペースが伸びていなかったが、これは最後に燃費セーブをしなければならなかったせいだと考えられる。

 ホンダもルノーと同様に、まだ出力は昨年最終戦レベルに抑え、信頼性を優先している。燃料流量が決められている現行パワーユニットでは「出力の大きさ=燃費のよさ」だから、ホンダがライバルよりも燃費が苦しいのは当然のことだ。こちらも開幕までにいかにデータを突き詰めて使い方を熟成させられるか、そしてシーズン中のアップデートでいかに出力と燃費を向上させられるかがカギとなるだろう。

 大まかにいうと、これが現状の2018年F1の勢力図だ。

 しかしこれは、あくまでバルセロナ合同テスト2回目時点での勢力図に過ぎない。1回目が悪天候で本格的な走行ができなかったために、各チームともテストの進捗は遅れた。そのため、これから開幕に向けての1週間でデータの分析を進め、マシンのセットアップやタイヤマネージメントなどあらゆる部分の煮詰め作業を行ない、さらにギリギリまで開発・製造したアップデートパーツを持ち込む。

 開幕直前の追い込みで力を伸ばすチームもあれば、そうでないところもある。まだまだ勝負がついたわけではない。戦いの火ぶたが切られるのは、3月23日からのメルボルンなのだ。

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