エアレース王者・室屋義秀の今季は「楽にチャンピオンを獲る」が目標 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

 シーズンを通じて、いかに浮き沈みなく、コンスタントに上位に進出するか。その成否が連覇のカギを握ると考えている室屋は、今季のレッドブル・エアレースには注意しなければいけない重要なポイントがあると言う。

 そのポイントとは、今季がとりわけ「長いシーズン」だということである。

 今季のレッドブル・エアレースは昨季に比べ、およそ1週間早く開幕し、およそ1カ月遅く最終戦を迎える(今季最終戦は11月開催予定だが、日にちは未定)。2年前と比較すれば、開幕戦の開催は1カ月も早い。

 つまり、それだけ1シーズンの期間が長くなるということである。パイロットであると同時に、チームリーダーとしての役割も担う室屋は、少しばかり表情を曇らせて語る。

「(昨季より開幕が早く)オフが短くなるとはいえ、開幕日さえわかっていれば、それに合わせて準備するので問題はない。でも、シーズンが長くなると、チーム全体はけっこう疲れてくる。レースの間は休みがあるとはいっても・・・・・、今年はそのへんが課題になってくると思う」

 また、全8戦というレース数は変わらないにもかかわらず、シーズンが長くなるということは、レース間隔が長くなることを意味する。室屋曰く、「シーズン中でも、それだけ機体改良の時間ができるということ」になる。

「むしろシーズンオフの時間より、シーズン中(のレース間隔)のほうが長くなるので、こうなってくると、そこで何ができるかのほうが大事になる」

 それまで低迷していた機体が、あるタイミングを境に一気に改良される。そんなことも起こりえるのが今季のレッドブル・エアレースなのである。パイロットのみならず、チーム全体の総合力が、例年以上に試されるシーズンになると言えるのかもしれない。

 今季初戦の予選は3位。連覇を狙う室屋の、そしてチーム・ファルケンの、10カ月近くに及ぶ長いシーズンの幕が切って落とされた。

◆F1ホンダの新体制。「失敗しないアプローチ」は今度こそ成功するのか>>

◆4年ぶりの日本人、中上貴晶。MotoGPテストでのレベルはどのくらいか>>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る