2018.02.03

エアレース王者・室屋義秀の今季は
「楽にチャンピオンを獲る」が目標

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

 レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップの2018年シーズンが2月2日、UAE・アブダビで開幕した。

2017年の王者として新シーズンを迎える室屋義秀「やっぱここに来て、レーストラックを飛び始めると、(新しいシーズンが)始まったなっていう感じがする」

 室屋義秀がニッコリと笑って話すとおり、シーズン最初のレースがアブダビで行なわれるのは毎年恒例。今季でエアレース参戦7年目となる室屋には、もはや見慣れた景色のなかでのシーズン開幕だろう。

 とはいえ、”おなじみの開幕戦”も、今季に関していえば、室屋が過去6度とは少々異なる心境で迎えるレースになるのかもしれない。それは言うまでもなく、室屋がディフェンディングチャンピオンとして初めて迎えるシーズンとなるからである。

「去年、年間総合優勝したことで周囲の反応は非常に大きく、セレブレーション(表彰式や祝賀会)もかなりのボリュームがあったので、忙しかった」

 そう振り返る室屋は、これまでで最も慌ただしいシーズンオフを過ごしたに違いない。と同時に多忙な日々は、自身が成し遂げたことの重大さをあらためて知るきっかけにもなったのではないか。

 例えば、オリンピックの金メダリストがそうであるように、一度頂点に立った者は常に勝つことを期待される。本人が望むと望まざるとにかかわらず、周囲が室屋を見る目も間違いなく変わる。表彰台に立ったからといって、おそらく大健闘と喜んではもらえまい。室屋も「周囲の見方はそうだろうと思う。期待が大きくなる分、例えば3位になってもガッカリする声が出てくるのかもしれない」と語り、自らが身を置く環境がどんなものかを理解している。

 でも、と続けて、室屋が言葉をつなぐ。

「それを気にしても速くなるわけじゃないので。こっちは別に気にしないというか、こっちはこっちのペースでレースの準備をするしかないし、基本は去年のペースを踏襲し、同じテンポで同じようにやっていくしかないと思っている」

 室屋は昨季、年間総合優勝を果たしたとあって、メディアでの露出も飛躍的に増えた。”時の人”に関心を示す、新たなファンも決して少なくはないだろう。