勝者も敗者も笑顔。マルケスとドヴィの劇的なシーズン、最高の終幕 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 土曜午後の予選を終えて、ドヴィツィオーゾは3列目最後尾の9番グリッドという厳しいスタート位置になった。

「でも、レースはまだ終わったわけじゃない。ここに来る前から、自分たちには厳しいコースであることはわかっていた。去年よりも少し速く走れているのはポジティブだけど、もちろんまだ十分じゃない。明日は必死でがんばらないとね」

 笑顔でそう語るドヴィツィオーゾからは、虚勢や衒(てら)いではなく、ほどよくリラックスした雰囲気も感じ取れた。

 一方、ポールポジションを獲得したマルケスは、レースを翌日に控えた心境をこんなふうに語った。

「僕たちも人間だから、なかなか今晩は寝つけないと思う。でも、ドヴィがポールで自分が8番手や9番、10番だったら、もっとナーバスになっていたと思う。フロントロー獲得という目標は達成できたし、明日は1年でもっとも大事な日だから、いつもと同じ平常心で臨みたい」

 決勝日の天候は、抜けるような秋晴れの好天。日曜午後2時にスタートする決勝レースのチケットは完売で、スタジアム形式の会場はシーズン最終決戦を目撃しようと訪れた11万220人の観客で埋め尽くされた。

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