超絶レベルの快挙。室屋義秀が「エアレース年間王者」に至る成長曲線 (7ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 再び、時計の針を巻き戻せば、インディアナポリスに入った室屋が、公式練習を前に語っていた言葉が印象深い。

「もちろん順位という結果は数字となって出ますが、それとは別に、自分の成長曲線というか、限界曲線というのは、明らかに上向きに伸びてきている。そこは今までトレーニングしてきたことの成果であり、強くなっている証拠でもあるので評価していいと思う」

 そして室屋は「言い方がすごく難しいんですけど......」と言い淀み、少し言葉を選びながら、ニッコリと笑ってこう続けた。

「優勝できるだけの努力をしてきたんだから、自分にできることは、その成果をこのレースで最後にもう一回出すだけ。それが100%できれば勝てるだろうけど、99%だといい勝負だろうし、98%だと負けるかもしれないし、っていうレベルの勝負なので。今年最後のレースもそう思って臨みます」

 室屋はあくまでも自分にできることだけにフォーカスし、自分の手ではどうすることもできないことは、逆らうことなく、ありのままを受け入れる。それができるところに、彼の強さはあるのだろう。

 肩の力を抜き、自然体で臨んでいたからこそ、室屋は世界の頂点に立てたのだと思う。

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