2017.10.17

超絶レベルの快挙。室屋義秀が
「エアレース年間王者」に至る成長曲線

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 室屋義秀がレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップに参戦し、今年が6シーズン目になる。デビュー当初は連戦連敗が当たり前だったが、自身のトレーニングに加え、機体の改良が実り、今では世界中の猛者たちに混じっても”強豪”のひとりと数えられるまでになった。

エアレース最終戦を制し、年間チャンピオンに輝いた室屋 そんな成長の過程において、室屋に感じる最も大きな変化は「落ち着き」であり、「余裕」だ。

 かつての室屋は過剰にレースを意識するあまり、人を寄せつけないようなところがあった。レースを終え、自身のフライトを振り返るときも、(その多くが敗戦後だったのだから無理もないが)どこか強がりや負け惜しみを口にするようなところがあり、余裕が感じられなかった。

 だが、今は違う。例えば、あるレースの成績が悪かったとき、以前と同じように「ここがダメだったけれど、次は大丈夫」と話すにしても、それが強がりに聞こえない。話すときの表情や口調に、かつての苛立ちや焦りとは違った、落ち着きや余裕があるからだ。

 決して後づけではなく、今季の室屋を振り返ったとき、優勝するレースでは不思議と”勝てそうな雰囲気”が漂っていたように思う。今季の最終戦が行なわれたインディアナポリスに入ったときも、室屋は初の年間総合優勝がかかった大一番を前にしているにもかかわらず、驚くほど自然体だった。