エアレース開幕戦は惨敗でも、室屋義秀が「次は期待して」と言えるわけ (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by red bull

 だが、それを求めるのは酷というものだろう。いかにトップパイロットといえども、「いきなりエンジンパワーが上がり、練習なしで飛ぶのは難しかった」のは当然だ。室屋が続ける。

「(機体の調整が)もう1日早ければ、公式練習も飛べたし、予選でも結構(上の順位に)いけたと思うし、予選で目一杯飛べていれば本選もこんなに難しくはなかっただろうし......。でも、たらればを言っても始まらない。昨日の状態だったらレースにならなかったわけだし、今日のエンジンはホントよくなっていた。それは救いだった」

 最終的に13位に終わったことを考えれば、もしかするとエンジンが不調のままレースに臨んでもいたとしても、順位に大きな違いはなかったかもしれない。

 それでも、こうして自分なりに納得できるフライトでレースを終えられたかどうかは、気持ちの面ではずいぶんと満足感や納得感に差があるはずだ。

 もちろん、シーズン開幕戦でエンジントラブルを招いたことは猛省すべきだ。室屋自身、「冬場の準備に人手も時間も足りなかった。僕がアメリカへ行ってテストフライトをすればよかったが、行く時間もなく、テストをし切れないまま、ここまで来てしまったのが、結局は原因だと思う。そこはシーズンオフの課題として残った」と、反省の色が濃い。

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