「おいしい部分が少ないマシン」のF1ホンダ。鈴鹿に向けて秘策は? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 土曜になってもその症状は変わらなかったが、予選ではラバーが乗った路面のグリップ向上に助けられてマシンのフィーリングがよくなり、アロンソがQ3進出を果たした。バトンもコンクリートウォールにこすって左リアタイヤを壊していなければ、Q3に進めていたかもしれない。

「同じサーキットだとは信じられないほど、グリップレベルがさっきとは全然違うよ!」(アロンソ)

 しかし、1年落ちのパワーユニットを積むトロロッソ勢に完敗してしまったのは、明らかにマシンの性能不足を表していた。

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は語る。

「トロロッソ勢に前に行かれてしまったのは、ショックでした。ドライバーたちはFP-3(フリー走行3回目)までずっと不満を訴えていて、『予選になって、初めてクルマに満足した』って言っていましたからね。でも実は、セットアップはそんなに変えていないし、正直、何が理由でよくなったのかはよくわかっていないんです(苦笑)」

 決勝では、12番グリッドのバトンはスタート直後にニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)のクラッシュを避けようとして他車に追突し、フロントウイングやフロアに大きなダメージを負って最後尾まで後退した。大きくダウンフォースを失ったマシンで43周目まで粘り強く走ったものの、「僕のレースは1周目で終わったようなものだった」という状況で、最後はダメージに起因するブレーキ不調でリタイアを余儀なくされた。

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