大苦戦のスーパーフォーミュラ。
小林可夢偉「ゼロからの再スタート」
密着・小林可夢偉(2)
スーパーフォーミュラの第3戦が行なわれる富士スピードウェイのピットガレージ内にあるプライベートルームで、小林可夢偉はマッサージ用のベッドに腰をかけてリラックスしていた。
「ル・マンはね、年に一度のお祭りやっていう特別感がすごくあるんですよ。ドライバーとしても、そこで戦う特別感、自分たちが素晴らしい場にいるんやっていう気持ちは、モナコGP以上に感じた。(中嶋)一貴ともそんなことを話してたんやけど......」
ル・マン24時間耐久レースでの思い出を語る小林可夢偉 トヨタの一員としてル・マン24時間耐久レースを戦い、優勝争いをして帰ってきた可夢偉は、レーシングドライバーとしてひと回り大きくなったように感じられた。
今年の可夢偉はWECのために、ヨーロッパと日本を行き来する忙しい日々を送ってきた。
「あるとき飛行機に乗り遅れて、その場でどうしようかなって考えて、思いつきでウクライナに行ったんですよ。そしたら、街は綺麗で安全やし、食べ物は安くて100円とか200円くらいしかしないし。これからも年に1回は行きたい場所になったね」
レーシングスーツの上をはだけて黒いデザインTシャツを着て、相変わらず可夢偉らしいエピソードを披露する。既成概念に囚(とら)われず、自由な発想で行動し、思わぬ発見を手に入れる。それが時に見るものを魅了し、惹きつける――。可夢偉の魅力のひとつだ。
1 / 5