0.019秒差でロレンソが「再々々逆転」。
歴史に残るファイナルラップ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 最終ラップの勝負は、二輪ロードレースの醍醐味がすべて凝縮されたような息を呑む戦いだった。全周5.245mのムジェロ・サーキットで繰り広げられた、ホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)のわずか2分弱のこのバトルを見れば、きっと誰もがMotoGPの虜(とりこ)になるはずだ。第6戦・イタリアGPの決勝レースは、それほど熱く激しい戦いで観る者すべてを魅了した。

今年のイタリアGPは歴史に残る壮絶なバトルが展開された今年のイタリアGPは歴史に残る壮絶なバトルが展開された 23周で争われたレースは、22周を終えてロレンソがマルケスに0.104秒先行する形でコントロールラインを通過し、最終ラップに入った。長いメインストレートの先に待ち構えるタイトな1コーナーでは、ロレンソが背後にピタリとつけるマルケスをブレーキングで抑えきって、登り区間のセクションも左、右、とバイクを切り返しながら通過していく。

 ムジェロ・サーキットは、トスカーナ渓谷の谷間に設計されている。長いメインストレートのあとは、自然の地形を活かして左から右へと切り返しながら高度を上げていく区間が続き、しばらくいくと今度は左右へ切り返しながら下っていく。そしてふたたび強烈な登り勾配を経て、リズムよくS字状に切り返していきながら、最後に大きく下るハイスピードの最終コーナーへと向かう。

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