エアレース開幕戦は大波乱。まさかの失格者続出に室屋義秀も困惑 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 ときにエアレースは、天候によって波乱が生まれる。風の変化などが、その最たるものだ。しかし、今回の波乱の「立役者」は飛行機内部――コックピットの後ろあたり――に設置された金属製の小さな箱。その正体は、フライト中のG(重力)を計る計測機器だ。室屋は言う。

「Gの計測システムは、昨季のものから変わらないということだったので、それに合わせて機体をセットアップしてきた。ところが、アブダビに入り、トレーニングセッションでレーストラックを昨季と同じように飛んでみると、簡単に12Gまで行ってしまった」

 室屋の頭のなかは「?」マークだらけである。急激な操作をすると、瞬間的に数値が跳ね上がってしまうのか、あるいはちょっとした振動を感知してしまうのか。いずれにしても、「実際より2Gくらいは数値が高く表示される」というのが、室屋の実感だった。

 現在のレッドブル・エアレースでは、パイロットの安全を確保するため、レース中の最大荷重が10Gに制限されており、これを超えるとDNF(Did Not Finish)となり、その時点でフライト終了となる。つまりは、昨季と同じ感覚で飛んだのでは、即失格となってしまうのだ。

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