参戦1年目の小林可夢偉「スーパーフォーミュラは甘くなかった」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

──開幕前に懸念していたように、国内のサーキットの大半が初体験の可夢偉選手にとって、予選前のフリー走行が1時間しかないというのが、セッティングの決まらない理由でしたか?

可夢偉 あの時間内では、テストはほぼできないですからね。僕の場合は、まずコースの習熟でフリー走行が終わって、新品タイヤも試せないまま、いきなりそれを履いて予選でしたから。ホンマにコースがよくわからへんまま、いっつも予選にいってた。で、5周くらいのショートランしかやってない状態で、決勝はいきなり60周のロングラン。だから走り始めた瞬間に、「あれ? これ、自分が思ってたのと違うなぁ?」っていうのがよくあった。結局、「何が良くて、何が良くなかったのか、よくわからへん」みたいなことの繰り返しでした。

──F1のときにもよく口にしていましたが、難しい状況でもプロとしてきちんと結果を残すためには、妥協せざるを得ない部分もあったのでは?

可夢偉 日本の人たちは長年ここで走っているけど、僕の場合は毎回新しいサーキットなので、完璧を目指すんじゃなくて、いろんなコンディションを想定しながら、95%を狙うしかなかったですね。それを自分の仕事にしてたんです。まさに、ヨーロッパに出て行って1年目のドライバーみたいに、慣れないサーキットでミスをしないギリギリのところを目指しながら、手探りでやっていくしかなかった。じゃあ、100%を狙うにはどうしたらいいのか──。もし、今年もスーパーフォーミュラに挑戦するとしたら、次は自分のなかの意識も開花させないといけないのかもしれません。

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