【F1】ホンダ、火を噴く激走。最終戦12位・17位でも笑顔の理由 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 車体を前傾させることで、前面投影面積は増え、空気抵抗も大きくなる。すると、スピードは伸びない。その代わりにダウンフォースを得て、コーナーの速さでタイムを稼いでいるのがレッドブルだが、マクラーレンにはそれもできていなかった。

「今年のマシンは完全刷新型だったけど、来年型マシンはこのMP4-30の正常進化型になる」(バトン)

 だからこそチームは、来年型に向けたテストパーツをアブダビに持ち込み、実験的なデータ収集を行なった。その甲斐もあって見えてきたのが、“今回の落としどころ”だったのかもしれない。

 金曜フリー走行のデータをもとにセッティングをガラリと変えたジェンソン・バトンは、土曜日から見違えるような走りを見せた。今季初のQ3進出(※)はならなかったものの、0.186秒差という僅差で予選12位となった。フェルナンド・アロンソは破片を踏んでパンクしてアタックできなかったものの、「Q3進出」という純粋な速さでのトップ10圏内は目の前まで見えていた。

※予選はQ1~Q3まであり、Q2に残るのは上位15台、Q3は上位10台。

「チーム全体として、今日はかなり良いところにいけるんじゃないかという気持ちで送り出しましたし、あの勢いでいけば今年初めてQ3に届くんじゃないかという気がしていたので、無線で『パンクだ』という声が入ってきたときには、みんながガクッと肩を落としました」(ホンダ・新井康久F1総責任者)

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