【F1】鈴鹿だからこそ浮き彫りとなった「ホンダの実力」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

11位で日本GPを終えたフェルナンド・アロンソ11位で日本GPを終えたフェルナンド・アロンソ S字のみならず、ヘアピンでもラインは膨らみ、ジェンソン・バトンはこの週末ずっとアンダーステアを訴え続けていた。アロンソも必死にコーナーで攻め、それでもストレートでなす術なく抜かれ続けたからこそフラストレーションが溜まった、と語っている。

「コーナーをどれだけ完璧に走ったとしても、ライバルがブレーキングを失敗してラインを外しているのがミラーで見えていても、ストレートであっという間にサイドバイサイドになって簡単に抜かれてしまうんだ」

 レース中盤以降、アロンソはザウバーを引き離しながら安定した走りを見せていた。序盤に苦しい走りを強いられたのは、燃料が重い状態でのマシンの運動性能がより厳しかったと見ることもできる。

 世界屈指の難コース・鈴鹿サーキットで、マクラーレン・ホンダは現状のすべてを出し切った。それでも入賞にはあと一歩、手が届かなかった。車体性能も、パワーユニット性能も、レース運営も、ドライビングも、すべてが問われる難コースだからこそ、今の実力が浮き彫りになったと言うべきだろう。

 それでも、マクラーレン・ホンダのマシンが目の前を通り過ぎるたびに、観客席からは歓声や拍手、チアホーンが鳴り響き、地元ファンは温かくその走りを応援した。それは、ドライバーもマクラーレンもホンダも関係なく、誰もがひとつでも上を目指して全力を尽くしていることが伝わっていたからだろう。インターネット上に匿名での罵詈雑言が並べ立てられていようとも、鈴鹿に詰めかけたファンの真の声はしっかりと彼らに伝わったはずだ。

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